やまぐち産業振興財団は、山口県のさらなる産業発展に寄与すべく創出された団体です。
一言に産業発展といっても多くの課題があり、それぞれの課題を解決するために様々な活動をしています。
この記事では、やまぐち産業振興財団がどんな活動をしているのか、わかりやすく解説します。
この記事でわかること
- やまぐち産業振興財団は山口県内の中小企業を総合的に支援する団体
- 中小企業等が抱える問題の相談対応や改善提案を行う
- 人材の育成に力を入れて将来的な産業発展を目指す
- 資金調達に苦慮する企業に向けた設備投資支援を行う
- 山口県内で創業を目指す人への支援を行う
- 販路開拓を支援して企業の売上拡大を目指す
- 技術研究開発を支援するメカトロ技術センターの運営を担う
- 中小企業の知的財産を守りビジネスチャンスを創出する支援を行う
この記事を読むことで、やまぐち産業振興財団が県内の中小企業や起業家のために、様々な支援を行っていることが理解できるでしょう。
やまぐち産業振興財団は山口県の中小企業を総合的に支援する団体
団体名称 | やまぐち産業振興財団 |
---|---|
団体種類 | 公益財団法人 |
所在地 | 山口市小郡令和1丁目1番1号山口市交流拠点施設内 |
スタッフ | 75名※令和3年4月時点 |
活動地域 | 山口県 |
やまぐち産業振興財団は、技術の高度化や新たな産業の創出などを、総合的に支援する団体です。
主に山口県内の中小企業や起業家を支援対象としており、各社が直面する課題に対応するため、様々な支援策を用意しています。
やまぐち産業振興財団は公益財団法人であり、事業収入に加えて、国や県からの事業委託金や補助金によって運営されています。
財団の利益だけを追求せずに、山口県全体の産業発展のために、有益となる活動をしているのが特徴です。
中小企業や起業家への支援を通じて、山口県をより魅力ある社会にすることを目指しています。
中小企業や起業家が抱える問題の相談対応や改善提案を行う
やまぐち産業振興財団では、中小企業が抱える経営課題の相談対応と、経営改善提案を行っています。
中小企業が抱える課題は多岐に渡るため、相談内容別に事業を分けており、各分野の専門性が高いのが特徴です。
経営課題を解決するために、以下の事業を運営しています。
- 経営に関する悩みを総合的に相談できるよろず支援拠点事業
- 中小企業に専門コーディネーターを派遣して技術診断をする事業
- 中小企業の経営破綻を防ぐために再生を支援する事業
- 後継者への継承に悩む企業を支援する事業承継・引継ぎ支援センターの運営事業
- 人手不足に悩む企業に優秀な人材を招き入れる首都圏等プロフェッショナル人材還流促進事業
- 定年退職後のシニア層が持つ技術力を活用するやまぐち高度技術者・研究者OB等人材バンク事業
- 中小企業のDX化を速やかに推し進める中小企業DX総合支援事業
気軽に相談できる体制を構え、中小企業が直面する課題の解決を図ります。
経営に関する悩みを総合的に相談できるよろず支援拠点事業
よろず支援拠点は、あらゆる経営課題を相談できる総合窓口です。
様々な資格を持ったコーディネーターが在籍しており、各社が抱える課題に応じて、適切な解決策を提案してくれます。
利用料は無料で、課題が解決するまで何度でも相談が可能です。
相談内容は多岐に渡りますが、例えば以下の相談事例があります。
- 売上拡大の方法に関する相談
- 人手不足の解決に関する相談
- ホームページやSNSなどITを活用した情報発信に関する相談
- デジタル化を活用した内部管理に関する相談
単に相談ができるだけでなく、その後のフォローアップも充実しており、丁寧に伴走支援してもらえるのが特徴です。
経営相談は拠点のある山口市だけでなく、下関市や岩国市など県内全域で開催される出張相談会でも可能であり、気軽に相談できる体制が整っています。
中小企業に専門コーディネーターを派遣する経営・技術診断助言事業
やまぐち産業振興財団には、経営の向上を図る中小企業等に専門家を派遣する、経営・技術診断助言事業があります。
例えば経営改善に関する悩みやIT化への推進など、企業が抱える種々の問題に応じて、専門家が診断と助言を行ってくれます。
実際に専門家が企業の実情を目にすることで、より適切な支援が可能です。
やまぐち産業振興財団には、様々な資格や経験を持つ民間の専門家が200人以上登録されており、課題に応じて支援可能な専門家をマッチングしてくれます。
派遣する専門家の謝礼金や旅費が経費として発生するものの、個別にきめ細かな対応をしてもらえるのが特徴です。
中小企業の経営破綻を防ぐために再生を支援する事業
中小企業活性化事業は、中小企業の経営破綻を未然に防止するために再生を支援する事業です。
例えば中小企業が抱える以下のような悩みに対して、相談対応や再生計画策定等の支援が行われます。
- 売上や利益が低迷して赤字が発生している
- 不採算部門の整理を考えている
- 財務体制が脆弱である
窓口でヒアリングした内容や財務状況をもとに、金融機関との調整が必要であると協議会が判断すると、再生計画策定支援が行われます。
再生計画とは事業再生を目的に、借金を債権者にどのように返済していくかを記載した書面のことです。
専門家による個別支援チームが再生計画の策定を補助し、必要に応じて関係金融機関との調整を行うなどの対応がなされます。
計画策定後は、概ね3事業年度を目途に計画達成状況についてのフォローアップが行われ、年月をかけた伴走支援がなされるのが特徴です。
相談は無料かつ秘密厳守にて行われるため、安心して利用できます。
近年では感染症の流行によって、経営状態の窮地に立たされる中小企業が数多く存在しているのが現状です。
やまぐち産業振興財団では、そんな中小企業に支援の手を伸ばすために窓口を構えて、気軽に相談ができる体制を整えています。
後継者への継承に悩む企業を支援する事業承継・引継ぎ支援センターの運営
事業承継・引継ぎ支援センターは、事業承継に関する悩みを総合的に相談できる公的機関で、やまぐち産業振興財団は国から業務を委託されています。
近年は経営者の高齢化が進んでいる背景から、事業の存続に悩みを抱える中小企業が増えているのが現状です。
事業承継・引継ぎセンターは、将来性がある中小企業の休廃業を回避するために、事業承継を円滑に進める役割を担っています。
主な支援内容は、以下の通りです。
- 早期かつ計画的な事業承継の意識喚起を実施
- 事業承継計画書の策定支援をして事業承継までに実施することを見える化
- 事業承継専門家の紹介
- データベースによる第三者とのマッチング支援
- 民間M&A支援機関への橋渡し
- 後継者人材バンクの運営
- 事業承継時の支障となる経営者保証の解除に向けた支援
事業承継は、後継者育成期間を考慮すると、準備に5年から10年程度の時間を要します。
そのため後継者候補が決まっている場合はもちろん、後継者が不在の場合は特に早くから準備をしなければなりません。
事業承継・引継ぎセンターでは、直接的な後継者への引継ぎ支援だけでなく、早期準備への意識喚起を行っています。
人手不足に悩む企業に優秀な人材を招き入れる首都圏等プロフェッショナル人材還流促進事業
首都圏等プロフェッショナル人材貫流事業では、首都圏から優秀な人材を招き入れ、県内企業への就業を促進する取り組みを行っています。
居住地の利便性や給与の地域差があるために、人材は地方より首都圏に集中しがちです。
そこでUIJターンにて山口県で就業を考えるプロフェッショナル人材を掘り起こし、人材を求める県内企業とのマッチングによって、山口県における産業力の強化を図っています。
マッチングにより首都圏のプロフェッショナル人材を雇用した中小企業は、所定の要件を満たすと、人材の受入に必要な経費の一部が補助されます。
補助率 | 補助対象経費の1/2 |
---|---|
補助上限額 | 200万円 |
参照元:補助金・支援情報
さらに副業や兼業など雇用形態に囚われない採用の推進によって、常勤雇用では獲得が難しい、高いスキルを持つ人材を確保できる可能性が高くなります。
時代に合わせて裾野を広げ、山口県により優秀な人材が集まるように促進しているのです。
定年退職後のシニア層が持つ技術力を活用するやまぐち高度技術者・研究者OB等人材バンク事業
やまぐち産業振興財団は高度技術者・研究者OB等人材バンクを設置して、OB人材と企業のマッチングを行っています。
OB人材とは、定年退職後のシニア層のことです。
個々の人材が持つ長年積み上げた経験や多くの知識を活かし、県内中小企業への情報提供によって、研究開発力や技術力を強化するのが狙いです。
高度技術者・研究者OBバンクには、種々の専門性を持つOB人材と、助言や指導を求める中小企業が登録されています。
中小企業は求めるニーズに応じて、適したOB人材をウェブサイト上でマッチングできます。
OB人材は自分の経験と知識を活用して貢献がなされ、企業は問題に応じて適切な支援を受けられるため、双方にメリットがある事業です。
中小企業のDX化を速やかに推し進める中小企業DX総合支援事業
中小企業のDX化を推し進めるのも、やまぐち産業振興財団の重要な役割です。
DX化とはデジタル技術を活用しながらビジネスモデルを変革することであり、業務の効率化や省力化のみならず、新たなサービスやビジネスなどの創出を目指しています。
近年DX化への流れが急速に進んでいるため、山口県内の中小企業や小規模事業者にも速やかに展開すべく、様々な取り組みを行っています。
中小企業DX化総合支援事業の取り組み
- クラウドサービスの導入促進活動及び補助金の助成
- DX化を検討する企業に対して専門コンサルタントによる指導や助言などの支援
- eラーニングによるDX基礎研修の実施
- 中小企業DX化推進補助金の助成
- DXに関するセミナーやワークショップの開催
DX推進を図る企業に対して、システム構築に掛かる費用の一部を助成する制度が設けられており、DX化における大きな後押しの役割を果たしています。
中小企業DX化総合支援事業補助金一覧
内容 | 補助率 | 補助金上限額 | |
---|---|---|---|
DXファーストステップ支援 | クラウドサービスの導入に対する助成 | 1/2以内 | 15万円 |
中小企業DX化推進補助金 | 生産性向上や既存ビジネスの変革、新規ビジネス創出を目指して取り組む情報処理システム構築に対する補助金 | 1/2以内 | 150万円 |
デジタル人材育成支援補助金 | 従業員等に短期の民間研修等を受講させた際の費用を一部助成 | 3/10以内 | 3万円 |
中小企業のDX化は大企業と比較すると進んでいないのが現状ですが、大きな要因として、DXへの理解が追い付いていないことが挙げられます。
そのため具体的な支援のみならず、セミナーやワークショップなどに力を入れて、山口県全体でDXが普及するように活動しているのです。
人材の育成に力を入れて将来的な産業発展を目指す
やまぐち産業振興財団では、将来的に山口県の産業発展を担う人材の育成に力を入れています。
産業の発展において人材の育成はとても重要であり、近年では少子高齢化による人手不足などを理由に、個々のスキルや知識の充実がより求められています。
そこで様々な対象者に向けた支援策を用意して、個々のキャリアアップや企業力の底上げを推進しているのです。
やまぐち産業振興財団における人材育成の取り組み
- 求職者に向けたIT分野の職業訓練実施
- 経営者並びに優れた技術者や技能者を育成するセミナーの開催
- 県内先進工場の見学会を開催して経営意識向上を図る
- ジュニア教室を開催して次世代を担う青少年に科学への興味を喚起する
- 中小企業が抱える経営課題に応じたセミナーの開催
各種セミナーは年に数回実施されており、高度で実践的な内容の研修を無料で受講できるのが魅力です。
企業に所属する人だけでなく、求職者や青少年などの幅広い人材育成によって、県内産業の将来的な競争力強化を図っています。
資金調達に苦慮する企業に向けた設備投資支援を行う
小規模企業者や新分野への展開を図る中小企業に向けて、設備投資の支援をするのも、やまぐち産業振興財団が担う事業の1つです。
設備投資は、売上拡大や生産性の向上など、経営の革新を図る上で必要不可欠となります。
しかし小規模事業者は、大企業や中堅企業と比較すると、設備投資に必要な資金の調達に苦慮する傾向があります。
そこで設備の導入を促進するために、希望する設備を代わりに購入して、対象企業に貸与しているのです。
対象となるのは、下記の条件に当てはまる小規模事業者及び中小企業となります。
小規模事業者 | 中小企業 | |
---|---|---|
対象 | ・経営の革新を図ろうとする企業や創業者 | ・経営の革新を図ろうとする企業や創業者 ・次の分野への事業展開を図る企業 1.情報通信分野 2.環境・エネルギー分野 3.医療分野 |
従業員数 | 原則20人以下 ※卸、小売及びサービス業は5人 ※特認企業は50人 | 21人~100人以下 ※卸、小売及びサービス業は6人以上 |
貸与の方式は割賦販売とリースから選択ができますが、どちらも低金利であり、長期間かけて返済が可能です。
割賦販売 (分割払い) | リース | |
---|---|---|
貸与額 | 100万円~1億円 | 100万円~1億円 |
貸与期間 | 3年~10年 ※原則法定耐用年数の範囲内 | 3年~10年 |
利率 | 1.8~2.0% | 1.002%~2.971% ※リース年数による |
設備投資の支援によって企業の成長を促し、県内全体のさらなる産業発展を目指します。
山口県内で創業を目指す人への支援を行う
やまぐち産業振興財団では、山口県で創業や事業承継を希望する人に対する支援が行われています。
創業は雇用を生んだり、若い移住者が増加したりなど、多様な経済効果をもたらします。
一方で山口県では年々人口が減少しており、経済力の低下が大きな課題であるため、創業に関する支援を充実させて産業の活性化を図っています。
創業支援に対する取り組みは、以下の通りです。
- やまぐち創業補助金で県内における創業を後押し
- 山口県の創業に関する情報や支援策の発信を行う創業の森を運営
- 女性の創業をサポートするセミナーや情報交換会の開催
- 創業を目指す人がスキルアップするためのmirai365の運営
やまぐち創業補助金の内容は年度によって異なりますが、毎年約10事業者に助成されており、補助金が創業を大きく後押ししています。
そして資金面の補助だけでなく、セミナーを開催したり交流の場を設けたりと、創業に関する多くの情報を得られるのが魅力です。
mirai365は創業やビジネス拡大を目指す人がスキルアップできる施設
やまぐち創業応援スペースmirai365は、創業やビジネス拡大を目指す人がデジタルスキルを磨いたり、創業に関する情報交換をしたりする空間です。
JR山口駅の近くに施設を構えており、創業を支援する設備やイベントが多様に用意されています。
mirai365の会員になると利用できるサービスは、例えば以下の通りです。
- 経営やデジタルスキルを学べるmirai ビジネスアカデミーを受講できる
- mirai365施設マネージャーや専門家による無料の個別相談が可能
- シェアオフィスやコワーキングスペースなどのスペースが有料で利用できる
- 自身のセミナーやワークショップを開催するためのスペースが有料で利用できる
- その他不定期に開催される有益なセミナーが受講できる
miraiビジネスアカデミーでは、デジタルを活かした経営ノウハウ等を実践的に教えてくれるため、スキルの向上に繋がります。
さらにスキルを磨くだけでなく、実際に仕事ができるスペースが提供されており、ハード面の支援も充実しているのが魅力です。
そして創業という同じ目標を持つ人との交流ができるため、モチベーションが向上したり、新たなビジネスチャンスを生み出したりと良い影響をもたらします。
創業を総合的に支援する環境を整え、新たな価値の創造に繋げています。
販路開拓を支援して企業の売上拡大を目指す
やまぐち産業振興財団では、中小企業の販路開拓を支援しています。
販路の開拓は、企業の売上拡大に大きく繋がるため、産業の活性化には欠かせません。
たとえ既存の販路で売上が安定していても、次第に伸びが鈍化するため、定期的な販路開拓が重要です。
そこでやまぐち産業振興財団では、県内中小企業の販路開拓を促進するために、以下の活動をしています。
- 県内で生まれた製品やサービス等を展示会に出展して事業化を促進する
- 中小企業に対して下請取引をあっせんして販路の拡大に繋げる
- 宇宙産業への参入に力を入れて将来的な事業創出を目指す
- 海外進出を希望する企業を総合的に支援する
- やまぐち頑張る企業応援プロジェクトで新事業展開への取組を支援する
- リアルとオンラインを併用したハイブリット展示会で販路拡大を目指す
市場のニーズは目まぐるしく変化するため、時代に合わせた販路開拓方法を、中小企業等に展開しています。
県内で生まれた製品等を展示会に出展して事業化を促進する
やまぐち産業振興財団では、県内の中小企業が開発や製造した製品やサービスを、展示会に出展する支援を行っています。
展示会に出展することで、製品やサービスについて多くの人に認知してもらえるため、将来的な販路拡大に繋げるのが狙いです。
そして環境分野や技術分野など、テーマに沿った企業や顧客が来場するため、興味を持つ人に直接魅力を伝えられます。
そこで県内中小企業が製作する製品等の魅力を全国に発信するために、東京や大阪など各地で行われる展示会に出展する企業を公募して、ブース準備などの支援を行っています。
中小企業に対して下請取引をあっせんして販路の拡大に繋げる
やまぐち産業振興財団では、中小企業に対する取引あっせんを通じて、販路の拡大を支援しています。
下請けとしての仕事を受注すると、一定量の仕事量が確保され、安定した経営が可能です。
そのため県内外にある企業からの仕事を、県内にある中小企業へあっせんし、販路の拡大に繋げています。
下請け取引あっせんのための主な取り組みは、以下の通りです。
- 県内外の企業を訪問して下請けを発注したい案件の情報収集をする
- 下請け仕事を受注したい企業に対する発注案件の情報を提供する
- 発注企業と受注企業のマッチングのために商談会や展示会出展を実施する
- 下請けかけこみ寺を運営して下請け取引に困る企業の相談対応を行う
下請けを受発注したい企業に対する支援だけでなく、実際に下請け仕事を受注する企業の相談対応も行い、あっせん後にスムーズな取引ができるようフォローしています。
さらに発注企業との間でより付加価値が高い取引をするために、下請け企業のレベルアップを図っています。
下請けとしての仕事を受注するには高い技術力と経営力に加えて、意識改革も重要であるため、研究会等を通じて啓発を行っているのです。
宇宙産業への参入に力を入れて将来的な事業創出を目指す
やまぐち産業振興財団では県内中小企業にて共同受注グループを作り、航空機や宇宙機器産業への参入を図っています。
山口県はJAXAと連携協力協定を締結するなど、宇宙産業に力を入れる自治体です。
その取り組みの1つとして、県内企業にて山口航空宇宙クラスターを結成し、航空機やロケットなどに使用する部品の共同製作を行っています。
山口航空宇宙クラスターには、機械加工や板金などモノづくりを得意とする企業が参画しており、異なる技術を持った企業が連携して部品を製作します。
やまぐち産業振興財団は、市場調査や国内外の展示会への出展など、山口航空宇宙クラスターの受注獲得支援を担っているのです。
関係機関が協力して宇宙産業という新たな分野に進出し、将来的に山口県を代表する産業となるように推進しています。
海外進出を希望する企業を総合的に支援する
海外展開を目指す中小企業を支援するのも、やまぐち産業振興財団が担う活動の1つです。
海外展開を図ると市場規模の拡大が見込まれるため、売上の増加に繋がりますが、現地における商談や市場調査など課題が多くあります。
やまぐち産業振興財団には海外展開への知見が深いコーディネータが在籍しており、海外進出の相談に対して、事業段階に応じた助言や提案をしています。
さらに海外展開を図る上で必要な経費の助成支援もあるため、資金面の心配も軽減されるでしょう。
海外販路開拓等支援助成金※令和4年度
補助率 | 1/2以内 |
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補助金上限 | 50万円以内/年間 |
助成内容 | 謝金旅費通訳・翻訳費等 |
そして山口県海外ビジネスサポートデスクの拠点をシンガポールに置き、ASEAN地域で販路開拓を目指す企業のために、海外企業との商談マッチングを実施するなどの支援をしています。
現地のサポートデスクに在籍するスタッフは豊富な知見があり、協力企業のネットワークを多く有しているため、海外展開を図る上で強い味方となります。
海外拠点を置くことで、中小企業における海外展開の取組開始から実行段階までを、総合的に支援しているのです。
やまぐち頑張る企業応援プロジェクトで新事業展開への取り組みを支援する
やまぐち頑張る企業応援プロジェクトと名付けられた活動では、中小企業等における新事業展開への取り組みを支援しています。
地域の稼ぐ力を伸ばし、働く場の創出によって、経済の活性化を図ることが狙いです。
具体的には、以下の活動が行われています。
- 高度人材育成事業
- グローバル産業人材育成事業
- 売上拡大事業
情報を分析できる人材や海外展開を促進できる人材の育成によって、販路開拓や売上拡大を、中小企業等が自社にて推進が可能です。
そのためセミナーを開催したり、商談会の場を設けたりなど、実践的に学べるよう内容が工夫されています。
さらに売上拡大事業では、売れる製品及び商品にするために、改良やプロモーションに対する支援が行われています。
製品や商品の目利き会が開催され、市場のニーズに合わせて、バイヤーや商社などによる助言を受けられるのです。
人材育成や製品改良の支援により、中小企業における新事業の成功及び売上拡大に貢献しています。
リアルとオンラインを併用したハイブリット展示会で販路拡大を目指す
時代に合わせた新たな取り組みとして、オンラインを利用した新形式の展示会における販路拡大を支援しています。
近年では、リアルとオンラインを組み合わせたハイブリット形式の展示会が増加しています。
リアルとオンラインでは、展示の見せ方や来場者の行動パターンなどに大きな違いが見られ、自社の魅力をより効果的に発信するためには工夫が必要です。
そこで新形式の展示会における商談成約を勝ち取るためのセミナーや、実際の展示会出展支援などを行い、時代に合わせた販路拡大を推進しています。
定期的な支援の実施によって、県内中小企業のノウハウ定着を図り、競争力強化の後押しをしています。
技術研究開発を支援するメカトロ技術センターの運営
やまぐち産業振興財団は宇部市の工業団地内で、メカトロ技術センターと呼ばれる施設を運営しています。
施設内には10の研究室があり、賃貸契約をして利用できます。
比較的安価な賃料でスペースを借りられるため、研究施設に掛ける費用を抑えたい中小企業に最適です。
さらに同施設には他企業が入所しており、技術交流をしながら研究開発を進められます。
研究者がお互いに刺激を与え合い、自社だけでは気付けない知識やアイデアを得られるのが魅力です。
研究に適した環境の整備によって、県内企業のさらなる技術力向上を図っています。
中小企業の知的財産を守りビジネスチャンスを創出する支援を行う
知的財産の取得や活用に関する相談対応や、助成金による支援を行うのも、やまぐち産業振興財団の役割です。
知的財産とは主に、発明や意匠など人間の創造的活動によって生み出されるもので、一般的に容易に模倣されるという特質を持っています。
参照元:特許庁ホームページ
自らが生み出した知的財産を守るためには、一定期間権利を独占する知的財産権を取得しなければなりません。
知的財産についての知識が乏しい中小企業の場合、必要な知的財産権を取得していないために、コピー品を作られるなどのリスクを追う場合があります。
裏を返すと知的財産が付加価値となる可能性もあり、中小企業を守りつつビジネスチャンスを創出するために、知的財産に関する総合的な支援を行っているのです。
具体的な施策として、以下の活動をしています。
- 知的財産に関する悩みを総合的に相談できる窓口の運営
- 中小企業の国内外における知的財産権取得を支援
知的財産権の必要性を県内の中小企業に広める活動から、具体的な取得支援まで、幅広く活動しています。
知的財産に関する悩みや課題を総合的に相談できる窓口を構える
知財総合支援窓口では、中小企業が抱える知的財産の悩みについて総合的に相談が可能です。
知的財産への理解が深い窓口担当者が聞き取りを行い、必要に応じて弁理士や弁護士などの専門家に繋ぎ、課題の解決を図ります。
相談内容は商標や特許などの取得に関してだけでなく、知的財産を活用した営業戦略の策定など、多岐に渡ります。
これらの内容について、総合的な相談によって新たな課題が生まれ、丁寧なフォローアップにより結果的に事業拡大や売上向上に繋がるのです。
さらに知的財産への意識が希薄な企業に対しては、定期的にセミナーを開催するなどして、知的財産の活用を促すための普及啓発活動を行っています。
以上のように、普及活動から事業戦略の策定まで、知的財産の観点から中小企業を総合的に支援しているのです。
知的財産権の取得に要する費用の助成制度がある
中小企業の知的財産の活用を促進するために、特許等を出願する際に必要な費用を助成する制度があります。
知的財産権の出願には、印紙代や弁理士への手数料など数十万円を要するため、費用を一部助成して中小企業の負担を軽減しているのです。
助成金は、国内で出願する場合と外国で出願する場合で助成額が異なります。
国内出願助成金
対象経費 | 日本国特許庁への出願に要する経費 (出願手数料、代理人手数料他) |
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補助率 | 対象経費の1/2 |
補助上限額 | 1企業ごと最大40万円 |
外国出願助成金
対象経費 | 外国特許庁への出願に要する経費 (出願手数料、国内及び現地代理人手数料、翻訳費用他) |
---|---|
補助率 | 対象経費の1/2 |
補助上限額 | 1企業ごと最大300万円 |
知的財産権は国ごとに独立しているため、特許や商標を外国で使用する場合は、進出先にて取得が必要です。
外国における知的財産権取得は現地の代理人を立てたり、書類の翻訳をしたりなど費用が嵩むため、より手厚い額の助成金が設けられています。
国内だけでなく、海外の出願費用を助成し、中小企業の知的財産を活用したグローバルなビジネス展開を後押ししているのです。
やまぐち産業振興財団は山口県内の中小企業や起業家にとっての強い味方
中小企業や起業家は、大企業と比較すると人員や資金力が乏しいため、全ての課題を自社で対処するのは難しいのが現状です。
やまぐち産業振興財団では企業が抱える課題に対して、事業段階や地域性に合わせたきめ細かな対応をしてくれます。
そして国や県からの委託事業が多く、無料で利用できる支援策が多いため、企業にとって強い味方となります。
やまぐち産業振興財団及び、県内における中小企業や起業家の、さらなる発展に期待しましょう。